私の体験した不思議でちょっと怖い話 ⑤

夏休みにはいり、いよいよ夏本番!

という感じですね。

今回も、この季節には、つきものの?

私の体験した不思議でちょっと怖い話を

していきたいと思います!

 

はじめにお断りしておきますが、

今回のお話は、実際にある旅館が、

舞台ですので、所々ぼかして話を

進めていきますので、ご了承くださいね。

 

このお話は、かなり昔の話です。

そろそろ30年くらい前になるでしょうか。

南関東のある海沿いにある観光地。

とある島があり、橋がかかっている場所です。

そこにとても古い旅館があるのですが。

ランチが、お部屋で食べられて、しかも温泉に入れる

日帰りプランがあるというので、母と2人

予約して出かけました。

 

旅館に着いたのは、午前11時頃だったと思います。

行ってみると、想像通りの古い、

趣のある和風旅館でした。

とてもワクワクしながら、受付を済ませて、

お部屋へ。

泊まるときと同様に、中居さんが、ついてくれて、

おもてなししていただきました。

お茶を飲んでいると、お昼の前に、

お風呂を勧めてくれました。

 

先にも書きましたが、この旅館は、

お風呂もポイントの一つで。

大正ロマンあふれるステンドグラスのある

タイル張りの内風呂と洞窟のある外風呂が、

ありました。

ちょうど、私たちが行った日は、外風呂が、

入れなかったのですが、内風呂もとても素敵なので、

早速、入りに行きました。

 

部屋を出て廊下をしばらく行くと、

右側にそのお風呂は、ありました。

 

暖簾のかかった扉を開けると、

脱衣場があります。

旅館そのものは古いので、脱衣場も

それなりの?年季が、入っていますが。

掃除は行き届いていました。

 

脱衣場の向こう側にもう一つ引き戸があり、

その向こうにそのうち風呂は、ありました。

平日に行ったせいか、お風呂にも

脱衣場にも、誰もいませんでしたので、

母と2人、

「貸し切りだね~」

と、笑いあいながら、入る準備をし始めたのです。

 

私たちは、お風呂側の壁にある脱衣かごを

使うことにしました。

脱衣場といっても、わりと簡素な作りで、

棚にかごが並べてあるだけのタイプです。

私たちの後ろ側の壁にも

同じように数はすくないですが、

脱衣かごが、並べられていました。

その隣には、鏡付きの洗面台が

いくつか並べられており、

髪を乾かしたりもできるようになっていました。

 

古い旅館のお風呂というと

暗いイメージもあるかと思いますが。

私たちのちょうど右手に

小さな窓があり、

そこから光も差し込んでいました。

 

そろそろ、入ろうかと思ったころ、

5・6人の女性の声が、

ふいにしてきました。

「お風呂に入りに来たみたいね。」

段々、近づいてくる気配に

母と顔を見合わせながらも。

私たちは、準備をしていました。

 

その声は、段々大きくなり、

入ってくるなと思った瞬間。

入ってきたのは、一人の女の人。

その女性は、私達の方を見ることもなく、

私達の後ろの脱衣かごのところにやってきました。

 

年のころは、20代中盤から後半位。

ストレート黒髪ロング、白いワンピースの女性。

 

一人なの・・・?

この時、けっこうな違和感は、あったのです。

なにせ、確かに聞こえていた他の人の声が

それ以来、ピタッとしなくなっていたのですから。

 

ただ、あまり後ろの女性を気にしていても

失礼なので。

用意のできた私たちは、先にお風呂へと

入っていきました。

 

私たちが、入った時点では、この女性、

服も脱いでいませんでしたが。

もう入ってくるだろうという時間になっても、

お風呂には、現れず。

?????

頭の中に?マークを飛ばしつつ。

結局、私たちが、出てくるまで

女性は、入ってくることはありませんでした。

しかも、あがって、脱衣場に戻ると、

彼女自体がいなかった・・・。

 

「いつ、でてったの・・・?」

母の問いかけに、首をひねるしかない私。

なぜなら、出ていく気配すら感じなかったから。

しかも、彼女がいたあたりが

「くさい・・・!」

「なに?このにおい」

思わず声が出るほど臭かった。

 

あんなにおいは、滅多にかがない・・・

というか、かげない・・・。

形容しにくいのですが、一番ぴったりなのは、

腐敗臭・・・。

生ごみとかでは、ないですよ・・・。

 

母が、思わず隣の窓をあけました。

「見て!」

私を手招きするので、みると

少し離れてはいますが、お墓が、

広がっていました・・・。

 

「今の人、変だよね・・・」

(おそらく幽霊かなと聞いているのだと思いますが)

「そうだね・・・。」

あいまいに、わたしは、答えました。

 

実は、母にはあえて言っていなかったのですが。

お湯の温度の体感も、おかしなことになっていたのです。

入ったときにすごくぬるいと感じたので

備え付きの温度計で確認しましたが、

ちゃんと40℃をさしていました。

しばらくすると、今度は、物凄く熱く感じたので、

また確認しましたが、やはり、40℃のまま。

その後もぬるいのが主体で、

同じような体感を繰り返していたのです。

 

その後、早々にお風呂を切り上げ、

食事を頂いて旅館を出ました。

(お食事は、とても美味しかったです。)

 

その後、島の中のお土産を見ていた私たち。

人ごみの中に白いワンピースが、

私の視界をかすめました。

しかも、私たちが、移動する先々にです。

嫌な感じを受けた私は、まだ気づいていない母に

「ついてきてる・・」

一言いいました。

 

「多分お風呂場の彼女だと思うけど、顔見てる?」

母に尋ねました。

私は、彼女の顔を見ていないのですが、

母は、鏡越しに見ていました。

顔色が、やけに青白かったのが、印象的だったそうですが、

顔もわかるというので、確認してもらうと、

やはり、お風呂場の彼女でした。

 

私たちは、足早にその島を後にすることにしました。

ついてこられると厄介なので・・・。

 

最後、私は、島を抜けて、橋の途中で振り返りました。

そのたもとで佇む、悔しそうな彼女をみました。

どうやら、彼女は、橋を渡ることは、できないようでした。

正直、ほっとしました・・・。

それ以来、その島には、足を踏み入れていません・・・。