私の体験した不思議でちょっと怖い話⑬

いきなりですが、今回は、

前回の続きからとなります。

 

詳しくは、前回の

「私の体験した不思議でちょっと怖い話⑫」

を読んでいただきたいのですが。

前回のおはなしをかいつまむと・・・。

 

父のお骨をお寺にお納めしに、行った時のこと。

タクシーの運転手さんが、行き先を間違えて

のっけから、違うお寺についてしまい・・・。

あらためて、本当のお寺に向かっている道中で、

運転手さんが、なんと怪談話を始めてしまい・・・。

そのお話が、あまりに、怖かったので・・・

そのお話を書かせていただきました。

 

その怖い話を聞き終え、お寺の駐車場で、

タクシーをおりました。

父のお骨を抱えて、本堂まで歩きます。

そのお寺は、いわゆる古刹なのですが、

近年立て替えていますので、そこまで、

古い感じは、しません。

 

私たちは、きれいに、整えられた参道?と

いうのでしょうか・・・飛び石伝いに歩いていました。

すると、どこから現れたのか、

男の人が、こちらに向かって歩いて来るのが

見えました。

 

私たちの行く道は、本堂まで一直線なのですが、

その男の人は、本当に、

 

どこから、現れたんだろう・・・。

 

というくらい、突然に私の視界に入ってきました。

しかも、8月終わりの暑い日に、ジャンパーの

長袖を着ていて。

「暑くないのかな?」

漠然と思いつつ・・・その男の人とすれ違いました。

 

まだ、何度も来ている場所では、なかったので、

突然、現れたことも、

きっと私たちが、知らない横道でもあるのだろうと

考えていたのです・・・。

 

本堂で、ご住職様とのお話を終え、

お骨をお寺に無事にお納めしての

帰り道。

 

本堂からまた、先程歩いた飛び石伝いに

今度は、反対方向に歩きます。

すると、また、先程の男の人が、前方から

歩いてくるのです。

 

一本道であるのに、突然現れる・・・

服装も同じ季節外れの長袖ジャンパー・・・。

私は、ちょっとぎょっとして、

後ろを歩く母を見ました。

母と目があいます・・・。

また・・・?

口にこそしませんが、母が、そう思っていることは、

すぐにわかりました。

 

その時、自分の耳に

 

カタカタ・・・

 

かすかですが、音が聞こえてきました。

しかもその音が、だんだん大きくなってくる・・・。

 

カタカタ・・・・

 

母を再び見ると、母は、向かって右側の方を

黙って指さしました。

 

私には、その音の正体は、だいたい、見当は、ついているのですが。

母の指さす方向をみて、

 

やっぱり・・・と思いました。

 

このお寺、実は、丘陵地に建てられています。

本堂が、一番高い位置にあり。

まわりにその高低差を利用した墓地が広がっているのです。

 

母が、指さした場所は、お墓の一部が見えているところ。

しかも裏側。いわゆる卒塔婆が、見えていました。

 

やっぱり・・・。

 

母が、指さしたお墓の卒塔婆が、

風もないのに、小刻みに揺れて

カタカタ・・と音をたてていたのでした。

 

やっぱり・・・私が、言っているのでお気付きかと思いますが、

私が、お寺を訪ねると、この現象によく出くわします・・・。

 

それに気を取られているうちに、その男の人は、すぐそばまで来ていました。

年のころは、30代後半から40代前半でしょうか。

妙に顔があおいことを除けば、ふつうの男の人です。

 

私は、そのまま知らぬ顔ですれ違い、

そのまま、来たときにタクシーを降りた

駐車場まできました。

ここまでくると、お寺の門までもうすぐです。

 

私は、ここで、また、後ろを振り返りました。

そして、私は、ぎょっとしました。

 

なんと、男がこちらに足早にやってきている!

 

わたしは、咄嗟に。本能的に。

危ない!

と思い、母に、

「逃げるよ!」

と言い、足早にお寺の門を抜けました。

 

しばらく行ったところで、振り返ると。

たった今、私たちが、くぐってきた門のところに

悔しそうに?(何故だか、そのときは、そう感じたのです。)

佇む男の人の姿がありました・・・。

 

どうやら、あの男の人は、門からは出られなかったのではないかと

私は、思います。

もちろん、あの男の人は、現世の方だったかもしれませんが・・・。

とにかく、よくわからないことが、頻発した父の納骨の日の1日でした。

 

実は、この話にはちょっとした後日談があります。

私の左手の一本の指は、元々巻き爪気味でした。

その爪が、父のお骨を持ったことが、原因なのか

食い込んでしまい、切開するしか、なくなってしまいました。

 

知っていますか?関東は、お骨は、全身を骨壺の中におさめるため、

とても大きく重いのです。

 

そのことを後日父が最後までお世話になっていた

クリニックの受付の方に話したところ…。

「お父さんが、まだ、○○さん(私)の手を放したくなかったんじゃない?」

と言われ、父の最後の愛情?にしちゃ、指、痛いわ・・・。と

おもってしまったのでした。