二つ目の魔法の言葉は、「ごめんください」

マンションのエレベーターに乗った時。

先に降りた人から

「お先に、ごめんください。」

と声をかけられて、

何だか、懐かしいな、

と一人で、ほのぼのしていた。

 

「ごめんください」

この言葉、私が、幼いころは、

よく聞いた言葉だったが、

このごろは、とんと聞かなくなってしまった。

 

この「ごめんください」は、

現在のように、

他人の家を訪れる時にも使うが、

昔は、もう少し使われる場所が広かった。

このエレベーターの場合のように、

その場を去るようなときにも使われた。

 

あらためて聴くと、

やっぱり、いい言葉だなと感じた。

まず、上品だし

また、遠からず、近からずの距離感に、

ちょうど、ピッタリなのだ。

 

 

先の人の場合、同じマンションの住人で、

何となく顔は知っているけれど、

もちろん、親しくはない。

場合によっては、同じエレベーターに乗り合わせた

人が初対面の人なんてことも、あり得る。

 

このエレベーターという代物、

当然だが、一軒家には、ない代物。

(もちろん、例外はありますが)

したがって、この割と狭い空間の中に

ご近所の方と二人きり…なんていう場面は、

一軒家の場合、なかなかないのだ。

 

 

何も言わずにいるのは、

ちょっとどうかと思う。

「こんにちは。」

挨拶は、当たり前として。

 

 

袖振り合うも他生の縁

せっかく、お会いしたのだから・・・。

エレベーターからおりる際に、

単に「失礼します。」では、

何かがたりない気がする。

 

 

距離が、近かろうが、すこし遠かろうが、

うまくその場を包み込むような、

言葉が、ほしい。

そんな気がしていた・・・。

そんな時、使えるのが、

このごめんください」なのだ。

 

近頃、挨拶しない人が、多い。

普通の通りで、挨拶しないのも

感じが悪いが

エレベーターという狭い空間では

なおさらだ。

 

 

せっかく、エレベーターという

場所であるけれど、

あいさつをかわし、

それなりに、世間話も出来たのに・・

それで、

はい!失礼します。では味気ない気がする・・・

 

 

なにかよい言葉は、ないものか。

と思っていたところに

この「ごめんください」をきいた。

 

少し古い言葉だが、ぴったりだ・・・

と思った。

 

 

挨拶が、人とのコミュニケーションをとる

第一番目の魔法の言葉なら、

 

二つ目の魔法の言葉が、

この「ごめんください」だと思った

失礼します。だけでは、足りない。

なごみのような雰囲気を与えてくれる気がする。

 

私も、その日から、この「ごめんください」を

失礼します。に付け加えてみることにした。

相手との場が、すこし和んだ気がする。

言葉のアタリが、柔らかくなった気がする。

少しだけれど、相手との距離を縮めてくれる

「ごめんください」は、そんな魔法の言葉だ。